【ネタバレあり】「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観た(私はBB-8を好きになれない)

12月15日、朝8時台の上映で「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観ました。

映画評論でも映画批判でもなく、ただの「スター・ウォーズ」ファンとして思ったことが出てきたのでつらつらと書いていきます。

(ネタバレが含まれているので未見の方はご注意ください)

 

 

■ポー・ダメロン、いい!

 

今作で完全に好きになってしまいましたよ、ポーのことが。

前作「フォースの覚醒」でもハン・ソロたちを救う名パイロットたる操縦シーンが出てきて格好良かったんですけど、今作ではまず最初にレイアの命令を無視したことでレイアからビンタ。さらに倒れたレイアの代理指揮官である紫髪のホルドさんに抗議するも、「うるさい、バカ。黙って」と一蹴されます。

 

いや~、いいですね。おばさんに盾つく若い男前って。この2シーンでキュンときてしまいました。

 

オスカー・アイザックは意外と身長が174センチしかないみたい。あんまり背が高くないのも好みです。操縦している時は分かりませんけど、ホルドさん(演じるローラ・ダーンは179センチ)に見下ろされててグッときました。

 

レイアに頬パチンされるシーンは何度も見たい。可愛い、ポー。レイア演じるキャリー・フィッシャーも亡くなり、ホルドさんも自爆で敵艦に突っ込んでジ・エンドしてしまったので、次作で年上の女性に盾つくポーがおそらく見られないのが残念です。ポーを怒る新たなおばさんキャラ、お願いします。

 

というか、今作では最後に初対面したレイに自己紹介してて、尊敬の念というか、若干好きになりかけてませんでした? さらにその直後にローズを看病するフィンを見つめるレイの描写もあって、なんだか次作からポー→レイ→フィン←ローズみたいな恋愛のゴタゴタが起こりそうで「I have a bad feeling about this」ですよ。SWの恋愛は、アナキン&パドメ、レイア&ハン・ソロだけで充分です。ジェダイがいなくなって、若者たちの恋とか愛のオンパレードになったら嫌だなあ。ジェダイに恋愛は禁止でしたからね。

 

■キャプテン・ファズマの描き方の詰め甘くない?

 

ファースト・オーダーに女性のキャプテンがいるってことで、いくらでも面白くできそうなのに、前作から今作通じて彼女の見せ場ってないですよね? 

 

フィンから「バケツ頭!」とか「おかっぱ!」とか悪口言われてるだけで、なんというか、いてもいなくてもどちらでもいいキャラ。それが前作から今作通じたキャプテン・ファズマの印象です。

 

前作ではストーム・トルーパーを脱走したフィンに捕まり、元部下に命令されるという少し屈辱的なシーンがありました。今作ではフィンとの直接的な戦いがあり、結果的にファズマは死にます。

 

これ、いる? 「(元)部下vs上司」という構図を狙ったんだろうけど、正直二人の関係性も興味ないし、そもそもキャラの魅力がたいしてないファズマなので、2人の戦闘シーンは「どうせフィンが倒すんだから早く終われー」と思って観ていました。

 

ファズマが死ぬ直前にマスクの目の部分だけ取れて、裏切り者の元部下であるフィンを睨むシーンがありましたけど、全然入り込めない。もうちょっとファズマがファースト・オーダーに忠誠を誓っていたとか、上司としての仕事ぶりとか、他のストーム・トルーパーから一目置かれていたとか、そういう描き方を死ぬまでにやっておくべきじゃなかったでしょうか。

 

せっかく女という設定なんだから、恋か愛か知らんけど、私情を捨ててまでファースト・オーダーに所属する苦しみとか、ダークサイドに堕ちると女はこうなるとか、上司特有のいやらしさとかウザさとか5分くらいで良いから描いて欲しかったんですよ。

 

そういや、シスにも帝国にも女っていませんでしたよね。初めての女がファズマだったじゃないですか。その点を考えても、いろいろできたんじゃないのかなあ。

 

でも、描き方が甘い割には、前作~今作においては結構重要なキャラになっているので、ファズマの過去を辿る「ファズマ物語」とかありそうですよね。実はもともと女ジェダイで、「シスの復讐」でジェダイ大抹殺がなされた時の生き残りジェダイの子孫だったとか。というか、あってほしい。そうすれば今作のフィンとの決闘も味が出てくると思うんですよ。

 

あと、ファズマを演じるグェンドリン・クリスティーだったら、マスク無しでそのままで出ても全然良かったんじゃないんですかね。シャーリーズ・セロンみたいな、長身&金髪美女なのでいくらでもいや~な上司ができたと思うんです。

 

この点はマズ・カナタも同じ。あの美しいルピタ・ニョンゴの容姿を隠さないでよ! いくらでも特殊メイクして面白くできそうなのに。本当に、マズ・カナタがルピタである意味ってあるんですか? 「それでも夜は明ける」のルピタ、最高でしたよね。出演作があまりないんですけど、すごく好きな女優さんなのでもっとガンガン映像作品に出て欲しいんです、ルピタ。

 

ファズマに思い入れがないくせに、長くなってしまいました。

 

■デル・トロ先輩が出演しているなんて!

 

今回一番驚いたのはこれです。光は闇がどうのこうのとか、善と悪とは何ぞやとか、そんな哲学的な内容が彼の登場で一気にどうでも良くなってしまいました。

 

私は本編を観るまで予告編は可能な限り目にいれないように、出演者や作品内容の情報は可能な限り耳に入れないように過ごしてきたのですが、まさかまさかのデルトロさんの登場に、映画館の客席で「ええぇぇぇ」と喜びの声を出してしまいました。

 

そもそも、前作が発表された時、メインキャスト全体があまりにフレッシュすぎてちょっとガッカリしていました。もちろんオスカー・アイザックとアダム・ドライバーはSW出演前から結構キャリアを積んでいる良い俳優さんなんだけど、「ファントム・メナス」の時のリーアム・ニーソンユアン・マクレガーサミュエル・L・ジャクソンといったまさかの豪華な面々がSWシリーズに!という衝撃は、やはり大きかったんですよ。

 

まあ、この辺は「ファントム・メナス」に比べて前作は、ジェダイがたくさん登場する設定じゃなかったからしょうがないのかもしれなかったんですけど。それにしても前作は「新三部作がスタート!」という衝撃で無名寄りのキャストでもなんか満足ができたものですが。

 

そんな中でここに来てベニチオ・デル・トロですよ! しかも最終的に裏切るとか、酔っ払い顔が酔っ払いを演じるとか最高じゃないですか。

やっぱり酔っ払い顔の俳優って良いですよね。デルトロさんしかりマッツ・ミケルセンしかりノーマン・リーダスしかり。セクシーっす。

 

デルトロさんはフィンとローズが出会う、DJというコード破りの達人で最終的にはファズマとの取引を選んで二人を裏切りました。それによって作戦は失敗、敵艦隊は破壊され、最終的には作戦もコードも関係なくなったので、「マズ・カナタの言ってたコード破りじゃなかったよね」っていう疑問が残っていながらも全く話にも出て来なくなりました。

 

ん~、きっと生きてるね、DJ。次のエピソード9でも出てくる気がする。というか、出てきて欲しい。キャラクター的に旧三部作のランドみたいな感じで、最後には味方になるっていう単純なオチかもしれないけど。だって、ベニチオ・デル・トロだよ? 次も出すでしょ、J・J・エイブラムス

 

■BB-8のことを全く好きになれない

 

ごめんなさい、ウダウダ言ってきましたが何より一番言いたいのはコレです。

 

いや、別に良いんですよ、新キャラの活躍は。新キャラが活躍してこそ、新世代のスター・ウォーズだと思います。

 

今作の終盤でファースト・オーダーの敵艦に忍び込んだフィンとローズ。でしたがデルトロDJに裏切られ、ファズマたちに捕らえられてしまいます。フィンとローズが処刑されようとしている中、ドロイドがファズマたちを攻撃! ドロイドを操縦していたのは、BB-8でした。

 

いやいやいやいや、いいの、それ? BB-8、ドロイドを操縦できちゃうの? そして人殺せちゃうの?

 

別に、「人間が機械に殺される!」とか「人工知能が~」とか、そういうことを議論したいんじゃないんです。BB-8にあの役割をやらせる意味ですよ。BB-8をそこまで活躍させて、存在を持ち上げることへの違和感です。

 

だったらチューバッカと仲良くなった新キャラのポーグがチューバッカに頼まれて、数体が結集して操縦していた、っていう演出で良いじゃないですか。それならポーグの活躍も見られるし、「ジェダイの帰還」で奮闘したイォークと重なるし、新旧どちらのファンも喜ぶ流れになったと思うんですよ。そもそも今回、ポーグってなんのために出てきたの? まだ萌え要素、可愛さ要員必要ですかね?

 

BB-8について、別に前作以降、R2の出番が一気に減ったことに文句を言いたいわけではありません。BB-8は新世代のスター・ウォーズのマスコットになって良いと思うんです。ただ、機能的にもキャラ的にもR2-D2と近いわけじゃないですか。主人への忠誠心とかすぐビビるところとかも。で、何を差別化するかと言ったら、R2-D2が得た“可愛さ人気”をより強く押し出していくこととドロイドを操縦して人を殺せちゃうっていうことが、前作と今作で明らかになりました。

 

R2も強靭の幸運の持主で、シリーズ通してオビ・ワンやアナキン、ルークたちをピンチから救ってくれています。でも、それはあくまでドロイドの機能の範囲内でしたよね? ホログラム映像の録画再生や機械修理、設計図のコピーなど、その活躍はドロイドの機能の範囲内でエピソードにおける必要不可欠な要素の1つを担っているにとどまっていました。その陰の功労者たる存在感こそ、SW内におけるドロイドや種族の魅力であって、なんというか、BB-8は影じゃなく表で活躍しすぎてる感じがもやもやするんですよ!

 

だってBB-8はドロイドを操縦して敵を殺し、フィンとローズを助けなくても、今作でここまでさんざん見所があったじゃないですか。ここに来てさらに活躍させる必要ある? 「BB-8、ありがとう~BB-8がいなかったら死んでたよ~」って承認欲求強すぎだよ。もしくはBB-8、J・J・エイブラムスに抱かれて出番増やしたんじゃないのかと思ってしまうほどです。

 

そもそも、前作からBB-8のあざとさが好きになれません。新世代のスター・ウォーズで萌えを一手に引き受けているだかなんだか知らないけど、人間に媚びているだけに見えるんだよなあ。前作でもスリープ状態のR2-D2にすりすりしていて、ゲンナリでした。ドロイドはそんなことしないよ。

 

今作ではBB-8はドロイドではなくペットなんだと思うようにしたら、腑に落ちました。終盤でポーに再会した時の猫なで声も納得できました。BB-8って意図的に機械音じゃなく、動物の声に寄せてるよね。BB-8を擬人化したら、権力のある男に好かれる術を知っている、計算高い20代前半の女なんじゃないかと思うんです。

 

それにフォルムを球体にしたら、何だって可愛くなるのは当然じゃないですか?  R2-D2C-3POもチューバッカもイォークも、みんな最終的には外見より内面に愛おしさを感じているわけですよ。R2なんか見た目はただのゴミ箱かミニ冷蔵庫です。

 

BB-8は球体×球体、模様も丸。そもそも「BB-8」って名前なんだよ。字面まで球体を意識しています。可愛さを意識した計算のオンパレードです。

 

私のBB-8嫌いが全く的を得ていないことは充分承知しています。BB-8ファンの方、気分を悪くされたら申し訳ありません。ただ、新作を観てもBB-8の見方がまだわからないのです。

 

「最後のジェダイ」はあと2回は映画館に足を運ぶつもりです。そのうち、BB-8の魅力がわかるようになることを期待します。